『誓 K-Side』

   サスケが里抜けした頃の話。 

   カカシの独白。
   すれ違ってます。

   『誓 N-Side』 と、対になってます。







サクラと、サスケと、・・・そして何よりもナルト・・・。

ずっとこうして三人の成長を。
傍で見守っていける事を、願っていた。


     ***   ***   ***


中忍試験において、思わぬ事件が起きていた。

大蛇丸がサスケに目を付け、予選に紛れ込んでいたという。


唯一残された写輪眼の後継者。
里としてはその能力を奪われる訳にいかず、彼自身にも、
早急に対処できるだけの力を、付けさせる必要に迫られた。

それだけでなく、避けられないであろう「戦」を予期し、
自分も鍛え直さなければならない必要性を感じていた。


圧倒的に、時間が足りなかった。

ナルトの修行を見てやるまでの、余裕がない。
「九尾」の力は安定していたから、自分がいなくても大丈夫だろう。

そう考えて。
指導能力ならば、自分より上と思われるエビスさんに託してきた。


その後、思いがけず、自来也様が交代してくれる事になって、
より安心して放っておく事が出来た。

何よりも、今は。
イタチへの復讐心と大蛇丸の呪印がどう影響するのか解らない分、
サスケの方が心配だった。


その選択は間違っていなかったはずだ。


サスケが里抜けしてしまった事は、仕方がないと考えている。

思いがけない形で再会を果たし、
イタチへの復讐心が何よりも勝ってしまったのだろう。

最初から、それこそが生きる目的のようなヤツだった。

その気持ちを他に向けさせ、
それに変わる「何か」を提示してやることが出来なかった
自分の力のなさに、不甲斐ないものを感じるだけだ。


そのせいで、サスケと闘う羽目になってしまったナルト・・・。


倒れているあの子を見つけた時は、全身から血の気が引くようだった。
呼吸を確認して、少しだけ安心できたが、
目に見える痛みだけが、問題ではない。

心の傷が心配だった。

孤独に生きてきたナルトにとって、何よりも大切な「絆」。
やっと手にしたであろうそれを失う羽目になってしまった・・・。


ごめん。 ごめんな、ナルト。
俺がもう少し早く到着していれば・・・、
サスケを何とか、引き止めることが出来たかもしれないのに。



目を覚ましたナルトの様子に、奇異感を覚えた。
言葉に出来ないような、肌で感じる些細な違和感。

それが日に日に感じられるようになって。
やっと、気が付いた。

今まで感情のままに、全開で向けられた笑顔。
眩しいほどのそれが、時に、薄い膜で覆われている。

あの晴れた日の蒼穹のような瞳に、どこか翳が射し。
快晴の笑顔が曇って見えるのだ。


サスケが居なくなったからだろうか?
そう思っていたけれど。


・・・どうやら、それだけではなかったらしい。

自分は言葉が足りないのだ。
それを思い知ったのは、最近の事。

イルカが教えてくれた、ナルトの語ったという言葉。
『カカシ先生は、ネジとの試合・・・俺が勝つと信じてたと思うってば?』

愚かな事に、自分は忘れていたのだ。
どさくさに紛れて、あの試合について、何も語らなかった事に。

試合を見守る事の出来なかった謝罪も。
勿論、勝つと信じていたという事も。

・・・そう信じていたからこそ、
自分が傍にいなくても大丈夫だと考えていた事を。


イルカに対して、「自分の部下」だと宣言したというのに。
大事なことは、何一つ伝えられていなかった。

いい大人が、自分より遙かに幼い「子ども」に対して、
言葉にしなくても大丈夫だろうと、甘えていたのかもしれない。

そんなはずはなかったのだ。
あの子は何よりも、人から認められる事を望んでいた。
その為だけに頑張っていると言っても、過言ではないほど。


今となっては遅すぎる。 あの膜の向こう側には、もう。
あの試合に関する俺の言葉なんか、届きはしないだろう。


俺はどうすればいいんだろうな?

あの澄み渡った空のような、お前の笑顔が見たいよ・・・なぁ、ナルト。



お前がサスケを諦めないというのなら。
俺の持てる全てをかけて、お前に協力しよう。


今度こそ。 俺は間違わないから。 
それを、ナルトに誓うから。




   だから・・・また。

   あの陽だまりみたいな笑顔を、俺にくれないか?



                            ~ END ~
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2009年06月29日 | 小話。 | こめんと 0件 | とっぷ

こめんと

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