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『笛吹き』 2 

カカシ × ナルト 


   里抜けしちゃおうかな、と・・・。
   シリアスです。











夜になっても、部屋の主が帰って来ない。

ナルトは電気も点けず、ベッドに横になりながら、ぼんやり天井を見ていた。
カカシの匂いが残るその場所は、ナルトをとても落ち着かせてくれた。


里の人間がナルトの部屋へ押し入る事を心配したのだろうカカシは、
黙ってこの場所へ、自分を連れて来てくれた。

ボロボロになっていた自分を、優しく洗い。
何も言わず、温かいミルクを飲ませてくれた。

火影の元へ報告に行かなくてはならない為に、
わざわざ結界まで張って、出掛けている。


普段、明確な優しさはくれないけど。
こういう時、とても優しい人なんだと実感させられる。

心がどうしようもなくなりそうな時。
何も言わなくても察し、黙って手を差し伸べてくれるのだ。



もっととても幼い時にも、そんな事があった気がする。
一度も声を聞いた事のない、「狐」のお面をかぶった人。

痛くて、苦しくて、淋しくて、哀しくて。
もういっか・・・と、ナルトが全て手放しそうになった時。
どこからともなく現れて、抱きしめてくれていた。

暴行に遭い、土の上にうち捨てられている自分を。
すらりと長い腕の中に、掬い上げてくれて。
安全な場所まで連れ戻してくれた人。

その温もりが、自分を生かしてくれていた。


いつの間にか忘れていたけれど。
今日、カカシと一緒にいる内に、その人の事を思いだした。


・・・「狐」は、綺麗な銀髪をしていなかっただろうか。



「遅くなっちゃって、ごめ~んね。」

のほほんと気の抜けた調子で、
そんな言葉を口にしながら、部屋の主が戻ってきた。

しかし、その口調とは裏腹に、
ナルトにさえ解るほどの、強い緊張感を滲ませている。


「カカシ先生? 怪我、したのかっ?」
手に血が付いているのを認めて、ナルトは慌てて駆け寄った。


「ああ、これねー。大丈夫、相手の血、だから。
・・・さっきナルトを襲った奴ら、きっちり消してきた。」

「な、なんでだってばよ!第一、相手が誰だか解らないはず・・・」

「んー? 俺の忍犬たちの鼻を、ナメるなよ? 
相手が血を流してたから、簡単に辿る事が出来た。
俺とした事が、頭に血が上ってたんだろうなー。
こんな穢いモノ、かけられたつもりなかったんだが。」

未だ事態が飲み込めず、呆然としているナルトに視線を合わせると、
その片目を笑みの形に細めて、言葉を続ける。

「俺はもういい加減、許せなかったんだよ。
お前をあんな目に遭わせておきながら、被害者面するヤツラが。
それに、昼間の面子には、忍も混じってたらしいからな。 
ただの里人ならともかく、まだお前の本質に気付けず、
卑怯な手段で攻撃するなんて、どう考えても、我慢ならなかった。
そんなヤツに、いつかお前の背中を、
預けなければならないかもしれないんだぞ?」

「そんな事したら、火影のじっちゃんが・・・」
「バレたら、きっと黙ってはいないだろうな。」

「そしたら・・・先生、どうなんの?」

「ま! 良くてしばらく牢獄入り、ってとこか?
悪けりゃ、お前と、一生会わせてもらえない。」

当たり前のようにそう答えられ、ナルトは泣きそうになった。

本当は、もっと悪い事態に陥ることもあるだろうに。
軽い調子で、『自分に会えないこと』が最悪の事態だ、と言う。


カカシが目の前から消えてしまうなんて、考えたくない。
里人たちの仕打ちなんて、いつでもやり過ごすことが出来るのに、
この人が手の届かない場所へ行ってしまうと考えただけで、
耐えられそうにないくらい、苦しくなってしまう。

だから。 その想いのままに。
気が付けば、言葉にしていた。

「・・・カカシ先生がいなくなったら、俺、イヤだ。
会えなくなるのは、苦しいってば・・・。」


「・・・じゃあ、俺と、里抜けするか?」

さらりと、カカシは口にする。
何でもないことのように。


ずっと、思っていたこと。
まだ小さいナルトを腕にした時から、ずっと。

自分が欲しくてたまらないモノを、
要らないモノとして扱う里が許せなかった。

そんな場所に、ナルトを縛り付けておきたくない。
・・・どうせ縛り付けるなら、自分にこそ・・・。


狡いオトナは。
心の疲れているナルトを見て、チャンスだと思った。

もし自分だけのモノにするなら、今が最後の機会だろう。


だから、カカシは、賭けに出たのだ。
血の匂いを持ち帰って。
ナルトの心を揺さぶった・・・。


もちろん。
賭けに負けても、ナルトを手放す気はなかったけれど。

出来ることなら、手荒なマネはしたくなかった。




                          ~  NEXT  ~




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2009年07月02日 | 『笛吹き』 | こめんと 0件 | とっぷ

こめんと

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