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『子狐のハツコイ~狼Side』

SCENE.3   カカシ × ナルト


   ・・・ 2 と、激しくテンションが違う気がします。






思いがけない事を耳にすると、人はフリーズするらしい。


「・・・え?」
「だから!俺、カカシ先生が好きなんだってばよ!」

どうやら、自分の聞き間違いではなかったようだ。
確かに、この子は「好き」といった。

しかし何故、突然。
何かの決意表明のように宣言されているのか。
言葉そのものは、何回聞いても嬉しいのだが。
必死の表情は、何かニュアンスが違う気がする。

(それに・・・。そういう意味での「好き」なら、
お前はサスケが気になってるんだろ?)


その日の失せ物探しの任務は。
場所が限定されていたからか、思いのほか早く片付いた。
何となく、今日は、ナルトの顔を見ているのが辛くて。
解散を告げ早々に立ち去ろうと考えていた。

それなのに。 この子どもは。
場所も考えず、必死の形相で「好き」発言をかましてくれたのだ。
さすが、こんな時まで「意外性№1」忍者だなぁ~・・・
頭の片隅を、そんなことが過ぎっていった。


「・・・ここは一つ、ありがとうと言っておこうか?」
いつもはさくさく回る口も、今回ばかりはすぐには復旧できずに。
幼い子どもを宥めるような口調で、そう答えるのが精一杯だった。

ナルトは、いささかむっとした顔になっている。
尖らせた唇が、キスしたくなるほど可愛いネ、
なんて、大人として終わってる感想しか出てこない。

「違うんだってば!」
言葉が上手く思いつかないらしく、必死な顔をしながら、
その隙に自分が消えてしまわないように、腰の辺りにしがみついてきた。
その仕草は反則でしょ?
っていうか、忍としてどうなのよ?

想定外の出来事に、さっきから思考は空回り気味。
意識は、脳の上っ面を滑っていくだけと化している。


「イガイガ虫がいるんだってば。」

「・・・は?・・・ゴメン、センセイ、ヨクワカラナイゾ・・・」
「だから!カカシ先生の好きだけ、ここら辺がぎゅっとなって!!
イガイガ虫が暴れて苦しいんだってばよ。」
潤んだ瞳で、上目に訴えられても。
このまま担いで、お持ち帰りしても許されるだろうか。

崩壊しかけた理性をつなぎ合わせ、とりあえず聞いてみる。
「その・・・虫とやらはいつからいるの?」
「波の国の任務の時。 戻ってきてからだんだん大きくなった。
白の墓ん所で、涙が止まんなくなった時も、
先生ってば、何にも言わないでただ傍に居てくれて。
気が済むまで一緒に居てくれたから、俺ってばすっげ~嬉しかったんだ!」

あの時の行動は、そんな優しい気持ちによるものでなく。
ただ、ナルトの涙に見惚れていただけなのだけど。
そんな真実を教えることはない。

「それでコイツってば、カカシ先生がいる時と夜の時間だけ、暴れるんだ。
きっと、コイツも、外に出たいんだと思ってさ。
だから、先生に好きって言えば一緒に吐き出せるってばよ!」
名案でしょ、なんて満開の笑顔。

「なんかすっきりした気がするってばよ。今晩は良く眠れそ~~!」
言いたい事を言い切って満足したのか、先生ありがと、
なんて言葉を残して、ナルトは一人さっさと帰って行く。


一方、残された大人の方は。
今までの人生で受けた、どんな「愛の告白」よりも。
一風変わった「アイノコクハク」に、見事にやられていた。


もしかして、昨晩のナルトの行動は。
・・・月を見ながら、自分を想っていたというのだろうか?
・・・なんだか穏やかで幸せそうな顔してなかったっけ。

そして、ふと、思い出す。
・・・俺は自分に嫉妬してたってのか?

気がついてしまうと、あまりに大人気ない事を考えていた自分が。
何やら急に恥ずかしくて、たまらない気分になってきた。
子どもの投げかけていった「イガイガ虫」とやらは、
大人の昏い感情を消すのに、充分な威力を発揮したらしい。


唯一さらされている目許も、赤く染まっていくのが解る。
サスケとサクラが自分を見て固まっているのも解った。

けれどそんな事は、どうでもいいような気がしていた。
今はただ、自分の言いたい事だけ言って、満足げに、
さっさと立ち去って行った愛し子を追いかけなくては。

その気配は、容易につかむことが出来る。


一人で納得して返事も聞かないなんて、酷いよねぇ。
俺の気持ちなんて、どうでもいいってことか。


とりあえず、ナルトを捕獲したら。
その「好き」について、もっとちゃんと聞いてみたい。

代わりに、俺の「好き」を、ちゃんと教えてあげるから。


                      ~END~
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2009年06月26日 | 『子狐のハツコイ』 | こめんと 0件 | とっぷ

こめんと

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